大田区防災シンポジウム

大田区では9月1日防災の日に合わせて「大田区防災シンポジウム」を開催致しました。

大田区と防災協定を締結し、ボランティアを含め支援活動をしている東松島市の大友市民生活部長に基調講演をお願い致しました。

この基調講演について、区議会の防災・安全対策特別委員会でも否定的な意見が多く、被災地が混乱している状況で市職員幹部をお招きすることは迷惑であろうということでしたが、結果的には、大変為になる勉強会となりました。
今後の大田区を始め地方公共団体にかかわるいくつかの事例が紹介されましたので、掲載をしたいと思います。

東松島市について

3月11日に発災し、災害対策本部の関係機関が集まれたのが3日後、一週間で500名程度の死者を確認した。
遺体の安置を体育館などで行っていたが、棺や毛布、ブルーシートなどの設備も少なく安置をし続けられないとのことから3月20日に土葬を決断し、22日から実施した。

東松島市では死者1044名、行方不明97名(8月29日現在)で死者のうち市外の方が78名。
浸水は中心市街地の65%にわたり、全国的にも被害が大きいとのこと。
発災当初におきた燃料不足に関しては、まず米軍が補給をし、その後自衛隊へと引き継がれた。
東松島市は現在まで、被害総額が580億円で将来的には2500億円程度まで見込めるとのことでしたが、東松島市の一般会計予算は180億円の約14倍であるということ。

震災に起因するごみは当初より14種類に分別し仮置している。現在156万トンある。東松島市は1年1万トンが平常時なので156年分に相当する。
地元の建設組合は被災者を1000人程度雇用し協力してくれている。
仮設住宅は3500戸必要と予測されていたが、結果的には自宅の補修などを行うことや転居により1753戸に止まった。

避難所は全員が移動し、9月1日に閉鎖となった。
市職員は本体に276人、保健師や教員が66人いる。
それに対しのべ8558人の他の自治体の職員派遣支援を活用し、発災後復興政策部を新たに作り、業務を一元化して「復興」に取り組み始めた。
引き続き、人手も必要だが財政的な支援も必要となる。
最後に部長がおっしゃっていたのは、自助・共助・公助というがまずしっかりと自分自身で備えてほしいということ。3日程度の水・食糧・赤ちゃんがいる場合はミルクやおむつなどは自分自身で用意をすべきとのこと。防災訓練に参加し、災害に常に備えることが重要である。

その後はシンポジウムを実施されました。

・大森警察署の警察官から、被災地に1000名入っており、現在でも機動隊300名、その他150名がいる。警察は特別機動隊を編成し各所から非常配備の警察官を招集して対応した。

被災地では、行方不明者の検索、遺体安置などの活動を行った。

今後の課題として、遺体安置場所の確保。検視を徹底し、災害に起因する死亡か事件かをしっかりと判断しなくてはならないこと。現状では難しいが、空き巣が多量に発生している。行方不明者の捜索と同時に窃盗犯の取り締まりをする必要がある。

また、東京での発災の場合は、自衛隊の野営地の場所の検討をしておかないと大部隊が展開できないと思う。

・田園調布消防署の消防官から、3月11日に第一次派遣隊として14隊61名で派遣され12日午前9時に東松島市の隣の石巻市に到着。
現場は1000棟、60万平方メートルが延焼中という、想像を絶する状態であった。
全国の消防署では46000人の緊急援助隊があり、非常時に備えている。

・大田区のボランティア調整センターから、900名のべ2700名が被災地で大田区のボランティアとして活動した。

・大田区の建築職から、近隣市と国の制度に対する理解に相違があり(国が制度設計時に混乱しており、回答が相違しているためもある)その業者対応に手間がかかった。
また、大田区に残った職員の関係もあり4月~7月までは半月交代で行っていたが、1週間交代に変更した。東松島市の職員に手数をかけないように事前研修を行ってから大田区の職員同士で引き継ぎをした。

・大田区の保健師から、保健師2名・事務1名のチーム編成で300戸、約1000人を往診した。子どもたちの中には発災当日に津波で流され助けを求める声を聞いたことによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)を受けている患者も多く、東松島市の保健師などに引き継ぎをした。

今回のシンポジウムは、震災から約半年を迎え多くの反省とこれからの課題と見出すよい機会となりました。
こういった内容を、地域防災計画を始め様々な場面に生かしていきたいと思います。

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