平成25年度大田区議会海外親善訪問調査 その1

海外親善訪問調査 その1

 

11月8日から15日までの8日間の行程でフランス連邦共和国パリ市・ナント市、ドイツ連邦共和国ブレーメン市・ハンブルク市の大田区議会親善訪問調査に出発しました。


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田空港に午後11時30分に集合し、議会事務局の皆さんや安藤充議員の激励を頂き出発をしました。

今回も日本航空JL41便でパリ、シャルル・ド・ゴール空港に着きました。


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今回の行程に関しても日本航空さんの格段のご配慮を頂き、スムーズな出発をさせて頂きました。

シャルル・ド・ゴール空港から荷物の引き取りなどをしたのち、午前8時ごろから車にて、空港近郊にあるノール見本市会場を視察しました。


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正面


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外観


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全体図


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入口のゲート


空港から約10分のところにある同会場は、大田区の羽田空港跡地Aブロックと同様で、大田区ではグローバルアライアンスセンターを建設する計画です。

この計画に私個人としては必ずしも賛成ではありませんが、区の方針で計画が進んでいる以上、比較検討をする必要があると思います。

ちょうどこの日はBATIMAT2013という世界最大級の建築建材展が開催され、出展社数2000社、5日間で約40万人の人出をみているものでした。

時間が早朝だったので中を見学する時間ではありませんでしたが、この規模と比較すると大田区の計画では少し小さいように思います。

大田区周辺の大規模展示施設としては、横浜国際展示場、東京ビックサイト、幕張メッセなどがあります。大田区で作った場合に他の展示場に対する相乗効果が発生するならともかく、悪影響が起こらないように当然準備をしなくてはなりません。

そういった意味で国際空港たる羽田空港は世界の空港との比較が欠かせないものと考えます。

同時に、パリシャルル・ド・ゴール空港はヨーロッパのハブ空港の一つであり、ドイツのフランクフルト空港、オランダのアムステルダム空港、イギリスのヒースロー空港などと並んだハブ空港です。アジアでは羽田空港・成田空港連合と韓国の仁川(インチョン)国際空港、中国の北京空港、などと競っているわけです。

多角的な目を見なければならないと思います。

 

次に空港近辺に勤務されている方々に対する託児所に向かいました。


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説明を聞く団員


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取っ手が高い位置にあります

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出資している企業体(資金によってワクが決まっております)


フランスでは、3歳から幼稚園に入園し、大学まで公立で設置され、授業料などは無料となっております。

このことから日本でいう保育園は3カ月から2才児までとなります。

費用は収入に応じて違い、1時間30セントから2.83€の自己負担、企業は13000€から84000€となっているそうです。

またこの託児所は、一番長い人で12時間半、週に2~3回預けにくるそうです。

契約形態は毎月変更ができ、1カ月に何時間というように決めて通わせます。また定期利用に空きがあれば、スポット預かりも受けているそうです。

時間は午前5時から午後10時半まで、土曜日は午前7時から午後7時までで定員40名、午前7時から午後7時までのコースで定員60名の合計100名となっております。

保育士1人に対する割合は、歩けない子(0・1才)は5人、歩ける子(1・2才)は8人までとされており、日本より基準が甘いことが分かりました。

ここの託児所も空港関係会社11社の出資によって運営されております。この出資金によって各社への割り当てが決まることから、枠に余裕があるかどうかは各企業に聞かなくては分からないとのことでした。

病児保育については医師との連携がなされ重篤でなければ基本的に預かるそうです。ただ、重篤な場合は親が自宅で面倒を見るそうです。また、子どもが病気になったら親が会社を休むことが一般的とのことで、いわゆる病時・病後児保育が問題になることはないそうです。

ここの根本は社会の体制や考え方によるものであり、日本もすぐ真似をすることは困難と思われます。ただ、子の面倒を親が見るという当たり前の発想を持つことは重要であると思います。

またフランスの労働時間が日本の40時間ではなく35時間労働が基本です。

学校のような教育施設は伝統的に水曜日と日曜日が休み、土曜日が半ドンとなっております。

つまり、月・火・木・金・土(半ドン)しかないことになります。

ただ、親の会社はそういうわけにはいかないので、ここの託児所は水曜日も営業しているそうです。また、幼稚園に通う年齢の子どもたちも水曜日が休みとなることから、従前通り預けにくるとのことでした。

概念的には日本の保育園、幼稚園と基本的には同じでしたが、幼稚園にほぼ全員が通うシステムであることは検討の余地があると思います。

今回の調査での限界であるので、今後の検討課題としたいと思います。

また、日本でいう保育士さんにもいくつかの資格が分かれており、園長クラスになるためには、看護師資格と保育士資格を両方持つ必要があります。また、保育士の下に助手という資格があり、その助手の助手(この階層は無資格者)がいるとのことでした。

最後に興味深いと思ったことは、訪問した午前10時にベットで寝ている子がいたことです。寝ている子の多くは午前5時など早朝に預けられた子であるそうです。ただ、フランスでは寝た子を起こすことはないそうで、寝たいだけ寝かせることが基本ことでした。

 

次に教育制度についてです。

国公立学校と教会系の私立学校とに分けられます。大学はフランス大学の支店的な感覚でリヨン大、ソルボンヌ大などと言いますが基本的には一大学だそうです。

また、道徳(カトリック)教育をしてはいけないことされ、共和制=特権階級ではないと考えられているそうです。そういった意味で、そういう教育を受けさせたい人が教会系私立学校に入れています。

また、進級については厳格で、小学校から落第があるそうです。ただ、あまりに過酷なことから、せめて中学までは普通に卒業させようというようにデスタン大統領は変更しました。

高等学校には、職業高校(簡単な技術を学ばせる)成績が良くない子が通うもの、技術高校、普通科高校の三種類があり、後者の二つは同じレベルといえます。

また、生活指導担当教員(専属・専従で他の教科を教えない)がおり、生活指導にも十分配慮しているそうです。

そして高校が終わると、バッカロエアという高校卒業試験(毎年6月に実施)があり、それに合格した人の中で希望者はだれでも大学に入学できます。

この点はドイツのアビトゥーアと同様で、卒業資格が難しくなっております。また、高校生の途中から国語たる仏語の代わりに哲学の授業があります。

子どものときから文章題を書かせ、択一の問題はそもそも学校教育で出ないそうです。

その後の就職ですが、資格を持っていないと就職できません。

学校のレベルによって取れる資格が違い、エンジニア(技術高校卒)と上級テクニシャン(職業高校卒)の最上位者はエンジニアの初任給と一緒といったようにそれくらいの格差があるそうです。

 

フランスの制度は日本と近い部分も多々ありましたが、社会に対する考え方も違うことから直ちに導入とはなりません。

ただ、しっかりと比較することが重要であることは繰り返し述べた通りです。

 

こういった視察をパリ市で行った後、明日のナント市の視察のために午後は移動日としております。

 

今回のまとめは現場でのヒアリングを元に作成をしました。

通訳さんの訳でまとめておりますが、定訳があるものも分からずに訳されていることもあることから論文などで引用される際は、詳細なる確認をお願い致します。

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