身近な不退去罪

第1回のテーマは住居侵入罪と同じ条文に規定されている不退去罪についてです。

市役所などの庁舎において市民の方々が入ることを拒むことは想定にしにくいと思います。

しかし、よくあるパターンは戸籍の申請窓口や休憩所を兼ねている椅子などに閉庁時間を過ぎて滞在しようとするケースが考えられます。

この場合は、庁舎管理者が明確な意思として本罪の成立を前提に不退去を止めるように求め、従わない場合は刑法犯として警察官を呼ぶ趣旨を告知するべきです。

また、警察官が到着したのちは改めて、不退去であることを伝え、従わない場合は刑事上の手続き等に則って、刑法犯として逮捕をしてもらうという手続きを考えるべきです。

また、現行犯人の逮捕は警察官など以外にも認められております。

ただし、警察官職務執行法に基づく拘束とは異なりますので制圧については慎重に取り扱ってください。

原則的にはその人を拘束することがメインではなく帰ってもらうことをメインとしているので捕まえることを目指さないことをお勧めします。

また、このスキームはいわゆるクレーマー対応にも応用できます。

正当な要求、意見は当然市役所として受けるべきと考えますが、同じ部署に繰り返し来る、帰らない、大声で怒鳴るなど対応に苦慮するケースが多いと思います。

程度が進めば、怒鳴ることによる暴行罪、傷害罪などになりますが、まずはその立証を目指すのではなく事態が小さい内に対応すべきと考えます。

刑法

(住居侵入等)

第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

刑事訴訟法

第二百十三条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

第二百十四条 検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。

中央大学法学部卒、中央大学法学研究科修了・修士
専門は、刑事政策、犯罪学、行政刑法、刑法、行政法。

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