周産期ってなに?NICUってなに?-安心なお産のために-
平成23年9月3日に大田区と大田区周産期医療検討委員会は、東邦大学医療センター大森病院新生児科与田仁志博士をお招きし「周産期ってなに?NICUってなに?-安心なお産のために-」とのテーマで講演会を開催致しました。 私も一参加者としてお話を伺いました。 1 定義 周産期とは…出産前後の期間を指し、妊娠22週から出生後7日未満をいう。 この前の段階だと母体外に出たら生きていけず流産となる境目となる。 NICUとは…新生児特定集中治療室で病院において早産児や低出生体重児、または何らかの疾患のある新生児を集中的に管理・治療する部門である。 出産時に標準とされているのが3000グラム・50センチとされている。 2 日本の現状 日本の合計特殊出生率は2010年で1.39でアフリカや中東諸国では2以上であるが、それ以外は2以下。日本国内でも中国・九州地方が比較的多い。 周産期死亡率は1950年ごろで1000人中25人(2.5%)であったが、1975年16人、2005年で3.3人と減少している。 アメリカで7人、ドイツで5.9人、イギリスで8.5人と先進諸国の中でも日本が一番少ない。 この背景には医療機器・医薬品・医療技術・周産期医療システムの進歩があげられる。 低体重児での出生が増えており10人に1人となっている。 医師の総数は増えているが、産科医は減少している。 新生児科医は、小児科などの教育の上に専門研究が求められ、全国に1000人程度しかいない。その1.5~2倍は必要であると考えられている。 全国にNICUが約2000床あるが、あと1000床程度は必要だと考えている。 NICU増設が困難な理由として医師・看護師の不足、建設費のコストなどがあげられる。 3 大田区の現状 日本胎児心臓病学会で胎児心臓診断の代表的施行施設として、東邦大学大森医療センター 大森病院 新生児科(胎児心臓外来)があげられている。 併せて先進事例として遺伝カウンセリングも実施している。 しかしながら大田区内では8か所しか分娩取扱い施設がない。 4 私見 医療が高度化することにより、多くの低体重児をはじめとする子供たちの出産がうまくいっていると言えます。 しかしながら、従前の助産院を中心とした施設で対応できる患者さんも多く高度な医療技術のある病院に行っていると聞きます。 このような1次~3次救急のような役割分担を徹底して行うことが一つの対策であると考えます。 また、大田区では出産ニーズが多いこともあるので、産科医師の確保を大田区も医師会と連携の中で、進めていく必要があると思います。 特に、出産時事故における裁判リスクが産科医になる際の大きなハードルとも考えられることからそのサポート施策の研究もしていきたいと思います。