<子供への性犯罪>出所者居住地届け出 大阪府が条例案検討
大阪府が未成年者に性犯罪を犯した刑務所出所者に対し、居住地の届け出を求める条例の制定を検討していることが5日分かった。子供への性犯罪者の再犯防止を目指す全国でも異例の条例案で、府は有識者の意見を聞くなどしたうえ、12年の2月府議会への提案を目指す。
条例案は出所者に対し名前や居住地、連絡先などを府の機関に届け出るよう求める。出所者に対しては社会復帰に向けた支援も行うという。把握した情報を被害者側に提供することは想定しておらず、届け出を義務化するか任意とするかについては、専門家の意見を踏まえて判断する。
性犯罪の再発防止を巡っては、橋下徹知事が3月、性犯罪の前歴者にGPS(全地球測位システム)機能付き端末の携帯を義務付ける条例を検討する方針を明らかにしたが、府は人権上の観点から「導入は難しい」と判断した。
府によると、10年に府内で起きた18歳未満の子供に対する強姦(ごうかん)被害は34件、強制わいせつは440件に上り、ともに全国ワースト1。条例案では、子供に対する声かけや威迫行為についても罰則付きで禁じることを検討している。【堀文彦】
◇制約はおかしい
藤本哲也・中央大名誉教授(犯罪学)の話 刑期を満了し、法的責任を果たした加害者に対して、さらに条例という形で制約を加えるのはおかしい。居住地情報の把握が、加害者の早期の社会復帰支援を目的としていても、加害者にとっては監視対象とされているとも言える。性犯罪加害者の出所後の対応については、国で対策を講じており、地方レベルでの対策については慎重に議論する必要がある。
◇制度として必要
澤登俊雄・国学院大名誉教授(刑事法)の話 刑務所の処遇が十分でない部分について、府が、個人情報が外部に漏れないような方法で、行政機関として面倒をみることは制度としては必要だと思う。ただ、届け出が強制の場合、個人情報保護法を含めた法律に反しない範囲にしなければならず、法務省などとの協議・検討が必要となる。任意では届け出は期待できず、条例の意味はあまりなくなる。
http://mainichi.jp/select/today/news/20110906k0000m040152000c.html
上記のとおりの報道がなされました。
今回の報道でいくつか気になった点を指摘しておきたいと思います。
1、なぜ子どもの性犯罪に限定をするのか?
2、子どもへの性犯罪者の再犯防止とされているが、実効性があるのか?
3、刑期を満了し、法的責任を果たした加害者に対する規制をしてよいのか?
1、子どもに対する犯罪の凶悪性を考えても成人に対するものと分ける必要性がないと思います。
性犯罪被害者は平成17年における統計をみると、強姦罪で19歳以下42.2%、20歳以上57.9%となっております。
また、強制わいせつ罪では、19歳以下56.3%、20歳以上43。7%となっております。
未成年者が被害者となる案件が極端に多いわけではないので、もし実施すべきとするならばすべてとするべきでないと整合性がないと思います。
2、性犯罪者の再犯率は出所後の有職率には大きな差がなく再犯の可能性は否定できません。
しかしながら、届け出を義務化した場合には、法的責任を果たした者に対する新たなレッテル貼りをすることはかえって再犯を惹起するおそれがあると思います。
また、任意とする場合には、自ら申請するとは思えず実効性が担保できないと思います。
3、出所者に対して出所後に条例で届け出を義務付けることは法律に抵触する可能性があります。
性犯罪者に関する出所者居住地に関してはすでに法務省と警察庁が連携し把握を行っております。
また、大阪だけが条例を作れば、他県へ移動して犯罪を行うことが想定されます。
本当に社会防衛を考えるならば、受刑者に対する精神科のカウンセリングなどの改善プログラムの拡充と出所者に対する社会内処遇の拡大をするべきだと思います。
以上のことから本文にコメントの有る藤本哲也中央大学名誉教授の意見に賛同したいと思います。
参考文献:平成18年度版 犯罪白書
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